みなさん、こんにちは。いろはです。
今日は、モチベーションと、創造性について考えてみたことを書いてみます。
1、大切な「内発的動機付け」
1、内発的動機付け
みなさん、「内発的動機付け」という言葉をご存じですか?
これは、「内発的」=自分の内側から自然に出てきた動機付けのことです。
動機付けとはモチベーション(motivation)のことです。
これは心理学ではいろいろと説明されていますが、ひとことでいいますと、
やる気
のことです。
さて、ここでそれに関する実験のお話があります。
それは、「ご褒美の隠れたコスト」という実験です。
2、「ご褒美の隠れたコスト」という実験
まず絵を描くのが好きな幼稚園児を選び、AとBの二つのグループに分けておきます。
Aのグループには、「上手に絵を描くことが出来たら、あとでオヤツをあげるね」と言っておきます。
つぎにBのグループには何も言わないで、ただ画用紙とクレヨン・色鉛筆を用意しておきます。
そうすると、最初の日は、Aのグループの子どもたちは、Bのグループの子どもたちに比べると、上手に絵を描いていました。
数日後、再び、お絵かきセットを準備して、実験者が、観察をします。
すると、Aのグループはお絵かきに使う時間が半分に減ってしまったのです。
好きな絵を描くことに身が入らなくなって、絵の出来もよくありません。
そしてその後も、絵を描くことに対しては積極的にならなかったのです。
それに比べて、Bのグループの子どもたちは、もともと絵が好きだったこともあり、自由にのびのびと絵を描いていたのです。
3、外発的動機が内発的動機を奪う
これは、どういうことでしょうか?
Aのグループの子どもたちは、「オヤツをあげる」という「外発的動機付け」を与えられましたね。
でも、そのせいで、もともとあった、「絵が好きで描きたい」という「内発的動機付け」が奪われてしまったのです。
だから、本来は自由に好きな絵を描いきたいと思っていたAの子どもたちは、その好奇心がなくなってしまったのです。
そして、絵を描くことに対して無気力になってしまったのです。
「外発的動機付け」は一時的な効果が出せることを狙ったり、短時間で効果が表れやすいなどのメリットがあります。
でも、本来の好奇心を奪ってしまう危険性がある、ということですね。
人の創造性を伸ばしていくには、「内発的動機付け」による自由さが大切なのです。
2、経済的〈自由〉によって、大失敗をしてしまう人たち
1、〈自由〉には、枠組みが大切
さて、わたしは、「内的動機付け」によって自由に絵を描いていくことが大切だといいました。
ただ、自由にという場合、それは手放しの自由でもよい、ということを言っているのではありません。
じつは、人は、〈完全な自由〉の状況では、何も出来なくなってしまうのです。
絵を描く場合でも、そこには、画用紙(あるいは、キャンバス)の中に収まるように描く、という〈枠組み〉とか〈制限〉があるわけです。
または、大きな壁や地面に絵を描く場合であっても、果てしなく絵を描くというわけではありませんよね。
目の前にある画用紙(キャンバス)などの大きさを、あらかじめ認識して、その上で絵を描くことになります。
もしも、そのような枠組みがなければ、自分が描きたいイメージを“適切な”大きさで描くことが出来にくくなってしまうのです。
2、自由による経済的破綻
このことは、子どもだけの話ではありません。
大人の場合においては、経済的な事にも当てはまるでしょう。
例えば宝くじで〇億円という大金を当てた人が、数年後には破産してしまっている例はよくあるようです。
これは、大金を持つということによって、経済的〈自由〉が得られたわけです。
そのことによって、かえって、経済感覚が鈍ってしまうのでしょう。
そして、おかしな投資話などに乗せられて、大失敗をしてしまうのです。
ですので、
何の制限も枠組みもない、〈自由な〉状態というのは、危険を含んでいる
ということなのです。
人は自由でありながらも何らかの“枠組み”が必要なのですね。
3、ドーラ・カルフ “自由にして保護された空間”
1、カルフの箱庭療法
人の創造性について、ドーラ・カルフという心理学者が、“自由にして保護された空間”と表現しています。
カルフは「箱庭療法」を考えたユング派の心理療法家の女性です。
カルフという人は、心の病に陥っている子供が、他の人では治らなかった子供でも、彼女にあずけられるとよく治っていった、っていうほどの素晴らしい心理療法家です。
カルフによると、
“自由でありながらも、しかも保護されている”
そうした空間によってこそ子供はその創造性を発揮し、自らのこころの中心を取り戻していくといいます。
そうして、心を病んでいた子どもが、自然と自分らしさを見つけて、健康を取り戻していったのです。
〈箱庭療法〉
2、完全なる自由は、創造性を奪う
〈完全なる自由〉は、あたかも虚空の中に漂っている生き物のように、地に足がつかないために、かえって身動きがとれなくなってしまうのです。
創造性の基礎となるものがないために、自由であることが逆に心の自由を奪ってしまうのですね。
つまり、
完全な自由放任は、逆に創造性の芽を育てる土壌を奪ってしまう
とも言えるのですね。
このことは、子供だけではなく、大人であってもいえることですね。
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